人間の身体は、歩くための構造と仕組みになっています。直立二足歩行となった約300万年前の猿人にまで遡ることはないのかもしれませんが、歩くことが単なる移動の手段だったとしたら、二足歩行よりも四足歩行のほうが有利です。
二足歩行になって手が自由に使えるようになって、脳の発達にも大きく影響したと考えられています。脳が大きく、重くなると、頭は胴体(骨格列)の真上にないと支えることができなくなります。
重い脳を支えながら自由に身体を動かすことができるのは、股関節が自在に動くようになったからで、股関節の柔軟性ということでは、人間ほど優れた構造をしている動物は他にはいません。股関節の動きがよくて、脚を自由に使えることになったことで、エネルギー効率がよい歩行ができるようになりました。エネルギー効率がよいというのは、少ないエネルギーで歩くことができるということです。
二足歩行ができる猿をウォーキングマシンを用いて二足歩行と四足歩行で前進するためのエネルギー量を測定したところ、二足歩行は四足歩行に比べて4分の1ほどのエネルギーで済むことが確認されています。この違いは、歩幅に関係しています。歩幅が広くなると、それだけエネルギー量が少ない状態で移動距離を長くすることができます。
エネルギー効率というと、少ないエネルギーで身体を動かすことが主にイメージされるかもしれませんが、身体を歩いて動かすことによって体内でエネルギーを作り出す効率についても使われます。効率的に歩くウォーキングは、有酸素運動による全身運動で、長く歩くことによってエネルギーを効果的に作り出すことができます。
この作り出されたエネルギーを心身の健康を増進させるために使うことが重要で、その能力は直立二足歩行だから発揮することができるのです。その身体的な機能を最大限に活かして、健康づくりに役立てていくのがツイン・ウォークの大きな目的なのです。
※この「ツイン・ウォーク」のコラムでは足と脚を使い分けています。足は足首から下、脚は腿(もも)から下を指しています。歩くときに使用するのは、主には股関節から先となっているので脚を採用しています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕