健康のキーワードとして「100億個」が登場してから久しいのですが、いまだに「なんと!100億個」というフレーズが耳に残って、あたかも数多くが摂取できるような気になりがちです。そのフレーズは青汁のテレビコマーシャルから始まり、今では乳酸菌の健康食品の比較にも使われています。「200億個」「300億個」という数です。
世界人口が2022年のうちには80億人に達するというので、100億というのは確かに多く感じるかもしれません。しかし、この100億個を送り込む先の腸内には1000兆個もの腸内細菌が存在しています。その数に比べたら100億個は10万分の1です。
もしも毎日摂取して、それが定着したと想定すると、10万日後は273年後になります。100年間、摂取し続けたとしても半分の量にもならない計算です。
このような“お遊び”のような数字の例ではなくて、本気で紹介すると、1000兆個の腸内細菌のうちベストの割合は善玉菌が20%、悪玉菌が10%、日和見菌が70%とされています。これからすると、善玉菌の数は200兆個となります。これでも2万分の1ということになります。
腸内に棲息する腸内細菌に対して、体外から送り込んだ(摂取した)善玉菌は1〜2日しか棲息されずに死滅してしまうので、どんなに多くの量を送り込んでも、大きな影響はないことになります。
それでも100億個の乳酸菌が含まれる青汁を飲むと腸内環境がよくなるという人は多いことは知っています。青汁に含まれる食物繊維は、腸内に棲息する善玉菌の栄養源(エサ)になるので、そのために善玉菌が増えて、活性化して、腸の状態がよくなるのではないか、というのが専門家の大方の見方だということを付け加えています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕