発達支援推進3 発達障害児を減らすのは自治体と住民の意識

発達障害がある人(発達障害者、発達障害児)の早期発見、早期支援は発達障害者支援法では国や地方公共団体(自治体)の責務とされています。そのとおりに実行されていれば、発達障害者(18歳以上)と発達障害児(18歳未満)の多くは発達障害者・発達障害児ではなかったはずです。

発達障害は、神経の発達が遅れがちであるために得手・不得手の凸凹(でこぼこ)が環境や周囲の人との関わりのミスマッチを招き、対人関係やコミュニケーション、行動や感情のコントロールがうまくできずに、社会生活に困難が生じやすい状態を指しています。その状態は程度の差はあっても、一生涯変わらないという特徴があり、このことが発達障害の困難さを高める結果となっています。

一生涯続くとしたら、支援の効果は現れにくいのではないかと考える人は少なくありません。しかし、発達障害は、どのような支援ができるのかによって本人にとっての心身の負担が大きく変わり、発達障害者・発達障害児と呼ばれなくなることもあるのです。そのためには自治体と地域の方々の理解と支援は欠かせない条件となります。

それは、前にも紹介した発達障害者支援法の定義(第二条)に明記されています。これによると「発達障害者とは、発達障害がある者であって、発達障害および社会的障壁による、日常生活または社会生活に制限を受ける者」と定義されています。(一部を読みやすく改変)

発達障害があるだけではなく、それと同時に社会的障壁によって日常生活や社会生活に制限を受けているということを示しているわけです。つまり、社会的障壁がなければ、発達障害があっても日常生活も社会生活も他の人と変わりなく過ごせる存在であるということです。

となると、社会的障壁を取り除くこと、少しでも軽い状態になるようにすることで、発達障害者と発達障害児を減らしていくことができることになるわけです。そのためには自治体に期待する公助に頼ることではなく、地域の方々と一緒に活動する共助によって社会的障壁を取り除くことを目指す必要があると認識しています。

その認識の根拠も、発達障害児支援法の一文に示されています。(次回に紹介します)
〔発達支援推進協議会 小林正人〕