発達栄養学のベースとなっているのはエネルギー代謝科学で、臨床栄養学でも中心的な課題とされてきたことです。エネルギー代謝は、全身の細胞にあるエネルギー産生の小器官のミトコンドリアでエネルギーを作り出すシステムを指しています。
ミトコンドリアは非常に小さなもの(直径0.5μm、長さ1μm)ですが、全身のミトコンドリアを合わせると体重の10%にもなります。それだけ重要な器官であり、生命維持に必要なエネルギーを作り出すという大きな役割を果たしています。
エネルギー産生はエネルギー源(糖質、脂質、たんぱく質)を材料としてエネルギーを作り出すことと一般には認識されていますが、作り出されたエネルギーを用いて細胞内の生化学反応を起こすことも含まれています。身体を構成する成分や機能を維持する成分(ホルモン、神経伝達物質、酵素、免疫細胞など)を作り出すためにも使われることから、多くのエネルギーを発生させることが健康の維持・増進に重要な役割を果たしています。
子どもは身体の大きさと比較すると非常に多くのエネルギーを必要とします。そのエネルギーを効率よく発生させることが重要であり、そのためにはエネルギー代謝を最大限に高める必要があります。中でも発達障害がある子どもは、自分をコントロールして周囲と対応していくために、非常に多くのエネルギーを必要としています。
エネルギー代謝に対して重要な役割をする消化、吸収、血液循環、細胞代謝、排泄は、どれも副交感神経によって働きが盛んになります。発達障害では、これらの働きが弱まることからエネルギー代謝が低下しやすく、さらに心身に大きな影響を与えることになります。
こういったことを改善するために、エネルギー代謝を高める成分(ビタミン、ミネラル、代謝促進成分)を効率よく摂取する方法が大切になります。また、代謝を促進するための生活活動や運動、入浴や睡眠などの生活面で幅広いアドバイスも必要であり、そのための知識を得ることも講習の重要な役割であると認識しています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕