キーワードが同じなら、同じ結果が得られると考えられることもあるのですが、こと健康に関わることになると、そうはいかないということがあります。
免疫というキーワードは、コロナ禍を経験して健康維持には重要なことであり、免疫を高めることによって感染症にもかかりにくくなり、がんにも抵抗力がつくということが知られるようになってきました。
免疫に関わるのは体内にある免疫細胞で、それが活性化されれば感染症などと戦う力がついて、健康状態が維持できるというのが常識と認識されるようにもなってきました。
健康食品や漢方薬などでは免疫強化をうたったものが増えていますが、免疫といっても千差万別で守備範囲も広くなっています。免疫を高める健康食品の成分としてエキナセアというアメリカ原産の薬用植物(ハーブ)が人気になったことがあります。
雑誌の記事やテレビ番組などでも免疫を強化するハーブとして盛んに取り上げられて、免疫強化を期待した人が増えたことから、多くの種類の健康食品にも使われていました。
がんをテーマにした講演会の質問コーナーで、免疫を高めるためにエキナセアを使っているという人から質問があり、どれくらい飲めば効果があるかという問いに講演者が困ってしまい、私に返答が振られたことがありました。そのときの私の返答は「どれだけ摂っても期待する効果は得られません」という、突き放すような言葉でした。
期待する効果というのは、がんだというのは講演会のテーマからすればわかります。免疫を強化するのだから、がんに効果があると思いたいところです。がんに効果があると感じさせる表現で販売されている他の健康食品は高価なものが多くて、エキナセアが原材料の健康食品は低価格のものが多かったので、できることなら安くて効果があるものを使いたいという気持ちはわかります。
しかし、エキナセアの免疫は風邪に対する効果であって、他の免疫の強化、少なくともがんに対する効果は確認されていません。免疫というキーワードを、自分の頭の中で、がんという自分の望みに合わせた効果に切り替えてしまった結果です。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕