発達栄養講習21 エネルギー源の種類とエネルギー量

細胞のミトコンドリアのTCA回路で、ATP(アデノシン三リン酸)が発生しますが、ブドウ糖1分子について、TCA回路を経由しない無酸素状態では2分子のATPしか作られないのに対して、TCA回路による有酸素状態では36分子が作られます。

これはブドウ糖をエネルギー源とした場合のことで、脂肪酸はエネルギー量が多いことから2〜3倍ものATPを作り出します。これは脂肪酸の種類によって異なります。

エネルギー源となるのは糖質、脂質、たんぱく質だけで、これが体内で分解されてブドウ糖、脂肪酸、アミノ酸となって細胞に取り込まれます。これらはアセチルCoAという高エネルギー化合物に変化して、TCA回路に入っていきます。

もともとのエネルギー源のエネルギー量を比較してみると、ブドウ糖とアミノ酸は1gあたり約4kcalであるのに対して、脂肪酸は約9kcalのエネルギー量があります。これだけを比べても約2.25倍の差となっています。

脂肪が多く含まれる食品は、おいしく感じやすいもので、食べ過ぎて摂取エネルギー量が多くなりがちです。摂取過剰が続くと、脂肪細胞に蓄積される中性脂肪が増えて、これが肥満の原因にもなります。食べ過ぎには注意が必要ではあるものの、脂肪酸は重要なエネルギー源であるだけに、これを活用して多くのエネルギーを発生させるためには運動や日常生活の中での身体活動が必要になります。

細胞の中で発生したエネルギーは、熱エネルギー、運動エネルギー、電気エネルギー、化学エネルギーとなって生命維持に使われます。ブドウ糖、脂肪酸、アミノ酸は全身のエネルギー源となるとされるものの、脳細胞だけはブドウ糖しかエネルギー源とはなりません。

脳は全体重の2%ほどしかないのに、使われるエネルギー量は20〜25%にもなります。神経を使うことが多い発達障害では、より多くのエネルギーが脳で使われているのは当然のことといえます。

原則的には脳ではブドウ糖しかエネルギーにはならないので、糖質が含まれた食品は脳の発達と機能に欠かせない栄養素といえます。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕