発達過程にある子どもの食事は、大人と同じ栄養素を身体の大きさに合わせて減らせばよいわけではありません。栄養バランスは誰にとっても重要だとはいうことは事実でも、子どもは大人以上に多くのエネルギーが必要になります。中でも発達障害児は、神経的にも負荷がかかっていることから多くの栄養素が必要であるのに、それが理解されていないために、充分に発達できないということが起こりかねません。
発達障害は神経発達のズレによる脳機能障害に加えて、神経伝達物質の偏りによって機能が低下することが知られています。神経伝達物質(セロトニン、ドーパミン、アドレナリンなど)の偏りは栄養摂取と体調・生活管理によって改善を図ることができます。しかし、その事実が充分に伝わらず、従来のままの対策が取られている例が少なくありません。
さらに感覚過敏によって極端な偏食が起こりやすく、そのために栄養摂取も通常どおりには望めないところがあります。これを改善するためには、これまで以上の対応が必要になってきます。
その活動とともに、発達障害児支援施設による情報提供として、まだ充分とはいえない発達支援としての栄養と自律神経調整についても実施することが重要であると考えています。その対象は発達障害児の保護者(父母、祖父母など)と、発達障害児支援施設の職員などの発達障害に広く関わる地域の方々です。
発達栄養講習では発達障害の極端な偏食への対応と自律神経に大きく影響する神経伝達物質の栄養面でのアプローチも研究していきます。食事に関係する消化・吸収・血液循環・代謝・排泄は自律神経で乱れやすく、乱れを整えることで食事に関わる一連の流れを向上させることもできます。
発達障害児の実態や取り巻く現状を知るとともに、家庭でもできる改善のためのアプローチの方法を伝え、さらに発達障害児支援施設の専門家にも伝えることが重要であると認識しています。その認識のうえに、それぞれの子どもの状態に適した改善策、家庭の事情に合わせた改善策を図れるように発達栄養アドバイザーの育成を推進していくことが重要であると認識しています。
〔発達支援推進協議会 小林正人〕