そうめん(素麺)には“お”をつけて呼ぶことがあるのに、ひやむぎ(冷麦)は“おひやむぎ”とは言いません。“お”がつくのは、おうどん、おそばなどで、似たもので“お”がつかないものとして、にゅうめんもあります。
単なる語呂の感じなのか、それとも意味があってのことなのかということですが、“お”がつくものは高級なイメージがあるものに多くなっています。おはぎには“お”がついても、ぼた餅には“お”がつかないということが例としてあげられることがあります。
おはぎとぼた餅の区別がつかない人もいますが、基本的には同じものです。おはぎのほうが上品な感じで、ぼた餅は上品とは呼びにくい形状をしていることもあります。おはぎは細長い俵形で餡は粒あん、ぼた餅は大きい丸型でこしあんとなっています。しかし、まったく同じものを季節で呼び分けている例が多くなっています。萩の花が咲く秋の彼岸に食べるものがおはぎで、牡丹に季節の春の彼岸に食べるものがぼた餅です。
話はそうめんとひやむぎに戻しますが、歴史的な背景は置いておいて、日本農林規格(JAS規格)の乾めん類品質表示基準で明確に分類されています。その分類の基準は太さです。それによると直径が1.3mm未満のものはそうめん、直径が1.3mm以上1.7mm未満のものはひやむぎ、直径が1.7mm以上のものはうどんとなります。
徳島の半田そうめんは1.4〜1.6mmと、ひやむぎ並みの太さですが、手延べの場合は1.7mm未満のものは、ひやむぎでもそうめんでも、どちらでもよいとの特例があるので、太くてもそうめんでよいわけです。
きしめんは、うどんの一種なのかというと、形状の特徴から別に基準があって、幅が4.5mm以上、厚さが2.0mm未満のものとされています。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)