健康あない人28 歩いて集中する動禅ウォーキング

禅の世界の修行というと“座禅”があまりにも有名ですが、座って集中力を高めたり、瞑想することだけが禅の修行ではありません。禅には“動禅”という、あまり聞きなれない修行の方法もあります。

さまざまな方法があるうち、私たちは歩くことを動禅としてすすめています。ウォーキングというと、全身を動かす有酸素運動で、酸素を吸い込んで身体も脳も機能が高まります。座って深呼吸をするのもよいのですが、歩いて多くの酸素を取り込み、身体のエネルギー代謝を高めて、そのエネルギーを精神安定にも充てようとしています。

ウォーキングは、何も意識をせずに歩いたとしても身体の機能向上とともに、季節ごとの、また地域ごとの景色を愛でながら、一緒に歩く人との交流を楽しみながらという精神面でのケア効果も期待されます。
しかし、せっかく歩くことに時間をかけるのなら、より健康になりたい、なってほしいという思いもあって、これまでは身体機能を重視しすぎることもありました。生活習慣病などに応じた安全な歩き方をするだけでなく、血圧や血糖値が高い人のため、中性脂肪値やLDLコレステロール値が高い人のための改善に効果があるウォーキング法の普及もしてきました。

しかし、歩くことは動く禅である動禅とすることもできることから、集中力を高め、精神的な安定を目的として歩くことも重要ではないか、との考え方もするようになってきました。歩いているときにアイディアが浮かんできたり、思わぬ発想をすることができるのも、歩くことによって余計なことを考えず、周囲に注意しつつ歩くことに集中することによって、精神の解放をはかろうとしています。

動禅で精神集中をするあまりに、足元への注意がおろそかになって転ぶようなことがないように、ポールを手にして歩くノルディックスタイルのウォーキングもすすめています。ノルディックスタイルのウォーキングは北欧発祥のスポーツ感覚のノルディックウォーキングと、日本発祥の安全性と健康づくりを重視したポールウォーキングに大きく分けられています。動禅では後者を採用しています。

悟りを開くまで長時間の座禅をするということがあったとしても、歩く動禅では完全な集中力を得るために、いつまでも歩いてしまうこともあります。私たちでも気づいたら2万歩を超えていることもあるので、膝や足腰の安全も考えて、2万歩以内で済ませることをすすめています。

精神的な集中を求めて続けていると、だんだんと短時間の動禅ウォーキングでも結果が得られるようになってきます。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)