「年伝説」という言葉があります。現代の造語ですが、年齢を重ねていくにつれて体調不良が起こることを「年のせい」などと言います。本当に年齢のせいなのか、どうにも改善できないことなのかということを常々考えています。
「病気の一番の原因は年齢」ということも言われます。同じような臓器の機能、食事内容であっても若いうちは特に何も症状が起こらなかったのに、年齢が進むとダメージを受けるようになっていきます。それだけ対応力、抵抗力が低下するということを指しています。
年のせいと決めつけて、他の対応をしなければ、年齢による機能低下を受け入れてしまったことになり、それこそ年齢が高まるほど身体が弱っていって、病気に近づいていくことにもなりかねません。
機能が低下する一番の理由は、全身の細胞の老化と説明されているものの、細胞は新陳代謝によって生まれ変わっています。新陳代謝が若いときと同じように盛んに行われていれば、老化しないとは言わないものの、老化を遅らせる、それも大きく遅らせることができます。
そこにチャレンジしているのがサーチュイン遺伝子に注目した療法で、サーチュイン遺伝子は長寿遺伝子とも呼ばれています。サーチュイン遺伝子は老化や寿命の制御に重要な役割を果たしている遺伝子で、サーチュインの発現量を増やすことで老化制御につながると報告されています。
サーチュインはエネルギー源の摂取制限によって活性化されるタンパク質で、老化した細胞に働きかけてDNAを修復するとされています。サーチュインは7種類あって、細胞の老化抑制に関わるものは6番目のSIRT6です。SIRT6はエネルギー代謝を高めて、細胞のミトコンドリアで脂肪酸の代謝によって多くのエネルギーを作り出して、そのエネルギーが細胞の老化抑制に使われます。
エネルギーを多く作り出すためには、脂肪酸を多くミトコンドリアに届ける必要がありますが、その働きをするのは代謝促進成分のL‐カルニチンです。L‐カルニチンは体内で合成されるものの合成のピークは20代前半で、それ以降は年齢が進むほどL‐カルニチンが不足していくことになります。
サーチュインの働きを高めるためには摂取エネルギー制限、つまり食事によるダイエットが必要となるわけですが、さらに脂肪酸をエネルギー化しないといけないわけで、L‐カルニチンの摂取も加齢による機能低下を抑えるためには重要だということです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)