発達障害がある子どもの支援を考えるときに、初めに考慮しなければならないのは、発達障害の特性とされる行動は誰もが同じではないことです。それぞれの子どもによって状態が異なり、その程度も子どもによって異なっています。
それが固定された状態であれば、まだ的確な対応をしやすいのですが、そのときどきによって状態も程度も変化します。前回に子どもへの対応として実施して、うまくいったことであっても、今回は正解にはならないことが往々にしてあると紹介しています。
これを例えるために、野球のストライクゾーンを示しています。通常のストライクゾーンは上・中・下の上下の3分割と、右・中・左の左右の3分割があって、このうちのどれかであればストライクの判定となります。ルールに従ってプレイしていればルールどおりに判定されるので、それほど対応は難しくないといえます。
ところが、子どもによってストライクゾーンが極端に狭くて、9分割の1つでないとストライクに判定されないとなると、その対応は急に難しくなります。それでもストライク判定となる部分が固定されていれば、技術と努力は必要であっても、ストライク判定を得やすくなります。
そのストライク判定される部分が、その日によって、そのときによって変化をしたら、手探り状態になり、なかなかストライクとならない、努力と苦労を重ねてもボール判定が続くということにもなりかねません。
そのようなことが当たり前に起こり、苦労が報われにくいのが発達障害児への対応の特徴となります。
ストライクゾーンが固定されているようであっても、それは子どもが周囲に合わせようと努力をしている結果ということがあり、ストライクゾーンが安定しているからと安心していたら、実は子どもに強い負荷がかかっていた結果だったということもあるのです。
〔発達支援推進協議会 小林正人〕