筋肉を増やすには、強い刺激が短時間のうちに与えられる無酸素運動が効果的でダンベル運動やスクワットなどの筋肉トレーニングが該当します。同じ刺激、同じ回数なら、できるだけ負荷がかからないようにして、1日のうちに分散して実施しようと考える人もいます。無理をして続かないくらいなら、負荷を弱めても続けるほうがよいということをすすめる人もいますが、骨格筋の筋繊維(筋肉細胞)を太くして強化するためには時間も重要になります。
筋肉が増えるときには傷ついた筋繊維が修復されることが起こります。筋肉に強い刺激が与えられると小さな傷が無数にできます。これを修復するためにはタンパク質が必要で、そのタンパク質は傷ついた部分に集められます。その役割をしているのがサテライト(衛星)細胞と呼ばれる骨格筋の幹細胞で、集められたタンパク質は筋繊維の修復材として使われます。
筋肉の負荷が高まり、傷つく筋繊維が増えるのは短時間のうちに実施された無酸素運動です。そのために無酸素運動は短期集中型で実施することが大切になります。
サテライト細胞は普段は休んでいる状態で、出番が来たときにだけ働くのですが、その働きを高めるためには、酵素の働きも大切になります。その酵素はAMPキナーゼです。AMPキナーゼは、ほぼ全身の臓器にあって、身体的なストレスがかかると働き出します。その働きが特に高まるのはエネルギー代謝が急激に高まったときです。
細胞の中でブドウ糖が多く使われたときには、エネルギー物質のATP(アデノシン三リン酸)が作られ、これからリン酸が1つはずれてADP(アデノシン二リン酸)になるときと、さらにリン酸が1つ外れてAMP(アデノシン一リン酸)になるときにエネルギーが発生します。AMPが多くなるのは、より多くのエネルギーが必要な状態ですが、そのエネルギー産生のためには筋繊維が重要になります。
そこで筋繊維を多くするために、AMPが増えるとAMPキナーゼが増えて、筋繊維を修復させるためにサテライト細胞の働きが高まるようになります。無酸素運動によってAMPキナーゼが多くなるのは相当の負荷がかかったときですが、有酸素運動では無理をしない程度でもAMPキナーゼが活性化します。そこで無酸素運動だけでなく、有酸素運動も同時に行ったほうが効果があるということです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)