自律神経の交感神経と副交感神経のバランスは、消化後の吸収にも栄養を与えます。充分に消化されていれば、吸収もスムーズに行われるものと考えられがちですが、吸収を進めるのは副交感神経の働きによるもので、交感神経の働きが盛んになっている興奮状態では、吸収力が低下します。
興奮状態にあるときには消化が低下するために、なかなか空腹を感じないことがありますが、それは消化だけでなく、吸収も低下しているからです。興奮状態になるときには、消化のよいものを食べればよいと思っても、実際には吸収も低下しているので、副交感神経の働きを高めることも大切になります。
発達障害がある子どもだけでなくて、多くの子どもが本来なら副交感神経の働きが盛んになる夕方以降の時間帯に興奮しやすい環境になっています。これを解消するには夕方以降にデジタル利用が続くような生活を避けることは大切と言われるものの、それだけでは解消できない例も少なくありません。
発達障害児は副交感神経の働きを調整する神経伝達物質のセロトニンが不足する傾向があることから、興奮作用があるドーパミンやアドレナリンの働きが強くなり、そのために交感神経の働きが強まり、吸収が低下しやすくなっています。
発達障害にみられる極端な偏食では、ただでさえ栄養摂取が減っているだけに、少しでも吸収を高めるように、副交感神経の働きを高める工夫が必要になります。少なくとも興奮状態のまま食事をすることを避けるために、テレビを消す、テレビをつけておくにしてもショッキングな内容の番組は避ける、落ち着いて食事ができるようにリラックスできる音楽や照明、食事中の会話の内容にも気をつけることが大切です。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕