筋肉を刺激する運動について伝えるときに、初めに話すのは「筋肉の数は生まれたときから変わらない」ということです。筋肉は筋繊維という繊維状の細胞で構成されていますが、その数は誕生したときから変わりません。数が変わらないのに筋肉が減っていくようになるのは、それぞれの筋繊維が細くなっていくからです。
ということは、筋肉を刺激して鍛えれば、筋肉を太くして、筋肉の能力を高めていくことができるということです。筋肉の能力というのは、強い力を発揮する筋収縮力、強い力を長く発揮する筋持久力、筋肉の能力を発揮するためのエネルギーを発生させる筋代謝力です。
筋肉を鍛えなければ筋肉が減っていくと表現されることが多いのですが、実際には筋肉が細くなって筋収縮力、筋持久力、筋代謝力ともに低下していくことになります。筋収縮力は白筋、筋持久力は白筋と赤筋、筋代謝力は赤筋が発揮する能力です。
筋肉は太いものは太ももの大腿筋から、細いものでは全身の臓器にある筋肉まで数多くの種類があるものの、一般には筋肉というと立ち上がり、歩くために必要な大腿筋だと認識されています。
筋肉はトレーニングしていなくても、日常的な生活の中でも刺激を受けて強化されています。それなのに動かすことができない状態(ギプスで固定)になると急に弱っていきます。私は雪国で育ったことから骨折する同級生が多くて、そのほとんどはスキーの転倒によるものです。お見舞いにいって触らせてもらうと筋肉が大きく減っていることがわかります。
太い筋肉の場合には、1日動かさないだけでも0.5%の筋肉が減っていくといいます。そのとおりだとすると、10日で5%、1か月(30日)で15%も減ることになります。筋肉は体重の約40%とされているので、15%も減ったら、体重が60kgだとしたら3.6kgも減ることになります。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)