発達支援の活動は、完全な支援スタイルが確立されてから実施すべきとの考えがある一方で、まだ手探り状態である段階でもよいので少しでも進めてほしいという考えもあります。
私たちがすすめようとしている発達障害の理解を少しでも地域に広げる活動は、何も手づかずの状態からの前進が求められることであるので、一歩の前進でもよい、少しでも理解して協力してもらえる人が増えることから始めるべきこととなります。
もう一つの活動である栄養面での支援についての理解と知識を始める活動については、これまで家庭に任せきりになっていた現状から考えると、これも手探りからの一歩前進でもよいはずです。
しかし、それぞれの専門家が取り組むこととしては、目に見える成果が得られる活動を期待する声があり、発達栄養では医療や福祉の現状を把握している管理栄養士に任せるべきだという考えは当然のように出てきます。
専門家が着手するなら、期待の高さに応えられるレベルを望むのは当然のことで、専門家が力を注いで、発達栄養の分野でもリードしていきたいというのもわかるところです。そのためには、発達障害について、実態や状態、栄養面での問題点について詳しい知識があり、指導実績もあることを期待するところですが、それをこれから学んでいくということでは期待との格差が大きくなりすぎます。
最も発達栄養について詳しいのは臨床栄養の医師であるはずですが、内臓疾患と栄養については詳しくても、発達栄養となると極端な偏食と食事の好き嫌いの区別もされていないのが現状です。
発達障害がある当事者と家族に寄り添いながら対応できる人材を育成しようとの考えに対して、専門家から「もの足りない内容を教えてよいのか」との疑問が寄せられることがあります。そのような指摘があることは充分に理解していて、物足りなさを感じるなら是非ともそれぞれの立場で支援してほしい、私たちが実行できるように応援してほしいとの望みを伝えています。
しかし、いまだに専門家が直接的に支援しないことに対して、批判のほうが先に立っている人がいるのも事実です。
〔発達支援推進協議会 小林正人〕