感覚過敏の視覚過敏では、白いものしか食べられないという子どもがいる一方で、逆に白い食べ物や飲み物が嫌いであったり、まったく受けつけない子どもも少数派ではあるものの、存在しています。これは視覚過敏が原因であるだけでなく、記憶や思い出が関係していることもあります。
牛乳が飲めない理由が、牛が大きくと怖い、牛が臭くて牛乳も飲めない、嫌っている牛乳を無理に飲まされてから拒否反応が起こるようになった、無理に飲ませた人のことを嫌いになって飲めなくなった、牛乳の色と同じ白い色をしているから食べられない、飲めないというように受けつけない原因が重なっていくようになります。
食べ物の色だけでなく、白いものしか食べられない子どもは白い食器で提供される食べ物は平気で食べることができるのに、同じ食べ物を色がついた食器で提供されると食べられなくなるということがあります。
また、白い食器であっても、それに絵柄がついていると食べられない、子ども用の可愛い絵柄の食器では食べられないということがあります。さらに、好きなキャラクターであっても、それが食器に描かれていると食べられないということも起こります。
これとは逆に、白い食器に乗っているだけで食欲が湧かなくなるということもあります。食器の色は食べ物の色とのバランスが考えられていて、それによって季節感を感じたり、おいしさが高まるというのが通常のことです。ところが、普通で考えると食欲が湧かないような色合いである青、紫、灰色、黒などの寒色系の食器で食欲が湧くという子どもがいる一方で、食欲が湧くオレンジ、黄色などの暖色系の食器で食欲が湧かないという子どももいます。
寒色系の食器に暖色系の料理という組み合わせは、料理の色を際立たせておいしく食べさせる効果があり、寒色系の中でも青系は清潔感を与えて食欲が湧きやすくなるとされていますが、料理の色合いが目立ちすぎると食欲が湧きにくいという反応をする場合もあり、料理を提供する側にとっては困った状況もあります。
食器にこだわるようになると色だけでは終わらず、丸い食器なら平気であっても角がある食器は嫌い、形が違うと食欲が湧かない、手で持って食べる茶碗や汁椀、カップなども手の感覚に合わないと、これが食欲を低下させることもあります。
この状態はいつも同じではなく、そのときどきによって変化があり、また料理によっても変化することがあります。このような視覚の影響があることを理解して、そのときどきに合わせて対応をして、できるだけ食べられる料理を増やしていくことも重要になります。