本当のことをドキュメンタリーで表現することは、どこかの国のように拘束されることはないとしても、その後の活動に影響を与えることがあります。自分だけへの影響ならまだしも、家族や知人にも影響(被害)があることとなると、伝えるべきことであっても躊躇してしまいます。そこで昔から使われてきたのが“都市伝説”という表現法です。
世界的なスポーツ競技大会を活用した商業活動に便宜をはかることで、競技団体への寄付を仲介したコンサルタントが、2億円以上の金額のうち35%を寄付して、残りは自分のものにしていた報道に、65%は取りすぎだろうという声が出ました。通常の広告代理店の取り分の20%と比べても、かなりの割合です。
それに比べたら50%の仲介料は低く感じるかもしれないのですが、世界の恵まれない子どもたちへの支援という大看板を掲げて、それを世界的な大看板で活動している団体の寄付活動でのこととなると大きな疑問があります。
その寄付活動にスポーツと芸能の関係で関わっていたときに、運営団体の担当者にぶつけたことがあります。そのときに「現地に寄付する金額が増えすぎて、恵まれない子どもが減ったら活動対象が減ってしまう」との返答があり、その寄付活動から手を引きました。
そのころは医療ジャーナリストとして、病気にさせない活動にも取り組んでいたのですが、ある有名な医師から「病気になる人が減ったら医療関係者が困る」と言われたときのガッカリ感と同じことを感じたものです。その医師は予防医学の重要性を述べて、メディアによく登場していたのですが。
「正当な割合でなくても、まったく寄付をしないよりもよいのではないか」という声があるのは承知していますが、自分に回ってくるかもしれない金額が増える仕組みであっても、違和感がありながら続けることはできなかったのです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)