脂肪代謝促進研究54 L‐カルニチンは怠け者のサプリメントか

太る原因は食事によるブドウ糖か脂肪酸の摂りすぎが第一の原因です。ブドウ糖が血液中に多くなると、肝臓で脂肪酸に合成されます。脂肪酸を減らすには、エネルギー代謝によって効率よく使うことは必要で、そのためには身体を動かすことが重要となります。食事で摂る脂肪を減らして、脂肪酸を少なくすることを考えるのではなくて、脂肪酸をエネルギー化するのを重視することです。

身体を運動などで動かせば、効率よく脂肪酸がエネルギー化するのかというと、それは若い世代のことであって、中高年以降になると代謝が低下してきます。その一番の原因が、細胞の中でエネルギー産生を行うミトコンドリアに、脂肪酸が入りにくくなることです。

脂肪酸がミトコンドリアの膜を通過して、中に入るときには、脂肪酸はL‐カルニチンと結合する必要があります。そのため、L‐カルニチンは体内で合成されているのですが、合成のピークは20歳代前半で、それを過ぎると合成量が減り、体内の蓄積量も減って、血液中の脂肪酸を細胞のミトコンドリアに取り込む能力も低下します。

その結果として、脂肪酸が血液中に残りやすくなり、脂肪酸が中性脂肪(脂肪酸が3つ結合した構造)になって脂肪細胞に蓄積されるようになります。これが年齢が進んで、代謝が低下して太っていく仕組みです。

L‐カルニチンは以前は医薬品の成分でしたが、今では食品の成分としてサプリメント・健康食品として摂ることができます。L‐カルニチンを摂取して、ミトコンドリアに多くの脂肪酸が取り込まれても運動をしなければ効果がないようにも思われがちですが、摂取するだけでもエネルギー代謝が高まることは科学的な実験で確認されています。

日常的な活動だけでも、L‐カルニチンを摂取するだけで代謝が高まるというと、なんだか怠け者のサプリメントではないかと考える人もいるようです。しかし、運動をすれば、より代謝能力が高まるということで、努力をした人には好結果が与えられるのです。

〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕