発達栄養学の講習を日本メディカルダイエット支援機構が実施する理由について聞かれる機会が多く、その答えを語るときに最初に話をするのはエネルギー代謝についてです。ダイエット(diet)は“栄養管理”を指していて、私が主任研究員を務めていた病院栄養管理研究所の“病院栄養管理”の英語表記は「hospital Diet System」で、これを略したHDSが、いつの間にか研究所の名称になっていました。
HDS研究所の研究員は、私以外は病院の栄養管理の現職と元職で、国立病院、大学病院での栄養指導の専門家ばかりでした。この活動が発展して、日本臨床栄養協会の設立につながり、私は同協会の機関誌『New Diet Therapy』の編集をしていました。
長々と書いたのは、ダイエットが栄養管理を意味するということで、少なくとも“やせる”という意味では使ってはいないからです。病院の栄養士はDieticien(ダイティシャン)といいます。エステのEsthéticienに対するダイエット(栄養管理)のDieticienで、ダイエット(栄養管理)を指導する人という意味であって、自身がダイエットをする人というわけではありません。
栄養管理というと、生活習慣病を対象とした場合には糖質、脂質、たんぱく質の過剰摂取が発祥の原因となることから、これを適量に減らすことが中心となります。エネルギー源(糖質、脂質、たんぱく質)が悪いものであるかのような扱いをされるところですが、食べてはいけないものがあるわけではありません。
どれも必要で、バランスがとれた摂取が重要になります。このバランスこそが栄養管理で、人によっては量を減らすことが栄養管理であり、人によっては増やすことが栄養管理となります。糖尿病は糖質を減らすというよりも、全体的な摂取エネルギー量を減らすことが重要で、糖尿病は血管にダメージを与える疾患であるので、血管の材料であるたんぱく質とコレステロールを充分に摂取することが基本となります。
このようなバランス感覚が重要なのに、血糖値を上昇させるブドウ糖だけを減らせばよいというような単純な発想ではいけないということです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕