筋肉が増強されるピークは、特別な運動をしていなければ25歳がピークで、運動をしていないと30歳から低下していくようになります。以前から言われていたのは筋肉量が60歳では25歳から40%も低下して、60%にもなるということです。
40%の低下でも大きな変化と思われますが、60歳から70歳になると60%も減るとされています。何もしなければ、これほどまでに低下していくので、60歳になったら、もしくは60歳を過ぎたら早いうちに筋肉の低下を抑えるようにすることが重要になります。
60歳を過ぎると、1年で1%の筋肉が低下するとされています。この段階で運動すれば、筋肉量の低下を抑えることができるのですが、運動をしないような生活をしていると、筋肉は大きく減っていきます。
筋肉の中でも重要な規律や歩行に発揮される太い筋肉の場合には、1日動かさないだけでも0.5%の筋肉が減っていくとされています。もしも60歳以上の人が2日だけ歩かないような生活をすると1%の筋肉が減っていく計算になるので、2日で1歳分の筋肉が低下することになります。
筋肉を増やすためには、白筋を刺激して太くすることが大切になりますが、60歳を過ぎると白筋を刺激する無酸素運動の筋トレをしても筋肉がつきにくくなります。筋肉を増やすには筋肉に負荷がかかって、筋肉が傷つくことが必要で、傷ついた部分の周りにサテライト細胞(衛星細胞)が作られて、サテライト細胞が集めたタンパク質が筋肉細胞に取り込まれていきます。
サテライト細胞が起動するためには、エネルギー代謝が高まって、エネルギー産生を高めるAMPキナーゼという酵素が働く必要があります。そのためには息苦しく感じるような身体負荷がかかることが必要で、吸収数が高まるような運動が求められます。同じ運動をしても年齢を重ねるとAMPキナーゼが働きやすくなります。
高齢者は運動をしても筋肉がつきにくくなると考えるのではなくて、無理をしない範囲で負荷がかかる範囲の運動を続けてほしいのです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)