あくまでも噂話95「食事を減らした分を必要とする人に届ける活動」

メタボリックシンドロームが有名になったのは、2005年に6つの医学系の学会が合同して診断基準を作ってからでした。太りすぎはいけない、やせなければいけないということで企業でもメタボ対策の健康づくりが始まり、無理をして身体を傷める人まで現れて、できるだけ無理なく、できれば無駄のないダイエット法が必要ということで、私たちのところにも研究や実践の依頼がありました。

日本メディカルダイエット支援機構は設立から15年目で、メタボ対策が始まったときには、その前身の健康科学情報センターと健康ペンクラブとして関わってきました。新たな制度やイベントが始まったときには、これを利用(活用というべきか)しようという人たちが現れるのが常で、当時は東京でメディア関係の仕事、福祉関係の仕事、臨床栄養の仕事をしていたこともあって、相談を受けることがありました。

その中で、最も派手に活動していたのが職員の給食で量を減らしたメタボ食を提供して、減らした食品の分を恵まれない子どもたちのために寄付するという活動でした。寄付をするのは会社で、集金するのは給食の委託会社、その寄付金を海外に送る団体が設立されました。

これに賛同してくれる会社を増やすためにメディアに紹介することを依頼されたのですが、こんな国の、こんな子どもに、これだけのことをしているとして渡された資料や写真は、どこかで目にしたものでした。ということで調べてみたら、アメリカでアフリカ支援をしている団体のもので、その団体に寄付金の一部を渡して、成果と写真を使っているだけだということがわかりました。

この活動を実施する団体で働く人にも、団体を運営する人にも、送金のために使われる金額もかかるので、もちろん全額が送られるわけではありません。その分を差し引いても、何もしないよりはよいといっても、経費が多すぎて、それなのにイメージとしては全額を渡しているような表現だったので、最終的には手を引くことになりました。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)