人間の身体の中でエネルギーを作り出し、作り出されたエネルギーを効率よく使っていく一連の流れは「代謝」と呼ばれています。代謝という用語は、「年齢を重ねると代謝が低下する」、「代謝が低下すると同じ食事と運動をしても太っていく」というように使われますが、そのときの代謝は“エネルギー代謝”を指しています。
代謝は、エネルギー源からエネルギーを作り出す異化と、作り出されたエネルギーを用いて身体に必要なものを作り出す同化に大きく分けられています。
異化は、飲食で摂取した糖質、脂質、たんぱく質を胃での消化によって、ブドウ糖、脂質、アミノ酸に分解する消化から始まります。消化されたあと、主に小腸から吸収されて、全身の細胞に取り込まれます。細胞の中にはミトコンドリアというエネルギー産生の小器官があり、その中でブドウ糖、脂質、アミノ酸がアセチルCoAという有機化合物に変化します。
ミトコンドリアの中にはTCA回路という代謝経路があって、アセチルCoAがクエン酸から9段階の変化をして再びクエン酸が作られます。この代謝経路を経ることによって、エネルギー物質のATP(アデノシン三リン酸)が発生します。
発生するといっても、何もないところから、いきなり現れるわけではなくて、他の物質から一部が変化するだけですが、そのことについては別の機会で詳しく紹介します。
TCA回路でATPを発生させるときには酸素が必要で、ATPが発生するときには、ミトコンドリアの中では二酸化炭素と水が発生します。一般に、細胞の中で酸素を取り込んで、二酸化炭素が排出されるというのは、このTCA回路の働きに関係しています。
エネルギー代謝は、基礎代謝、活動代謝、食事誘発性熱産生代謝の3種類に分けられます。この3種類のエネルギー代謝については、次の回で説明します。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)