発達支援推進26 学習障害の支援は公益か収益か

学習障害は発達障害の中でも該当者が多くなっています。それは三大発達障害とされる自閉症スペクトラム障害、注意欠陥・多動性障害、学習障害の中の一つであって、割合も最も多いうえに、自閉症スペクトラム障害と注意欠陥・多動性障害であっても、その特性から学習面での困難さが現れるからです。

学習障害児のための学習塾は、通常の学習塾の特別コースとして実施されたり、発達障害児支援の放課後等デイサービスで実施されることが多かったのですが、本格的な発達障害児のための学習塾として一般社団法人を設立して岡山市内に学習塾を開設しました。

私は一般社団法人の監事ですが、感覚統合療法による児童発達支援施設を運営する特定非営利活動法人の代表(医学系の理学療法士)と、学習指導を専門とする一般社団法人の代表を結びつけました。

他にはない学習塾ということで、大学生が実践教育の一環として参加してくれることもあって、2年前に始めた教室は満杯状態で、今年(2023年)1月から近隣に2教室目を開設しました。

これをきっかけにして、多くの福祉・教育関係者に学習障害児のための学習塾を始めてもらいたいという思いで、書籍を作ることになりました。クラウドファンディングが成功して発行費用を担うことができました。その寄付の活動の途中で、学習障害児支援は公益活動なのか、それとも収益活動なのかを考えさせられることがありました。

発達障害児のための学習塾は重要との考えも、そのノウハウを広めるべきだということについては多くの賛同が得られたものの、それを広報する書籍は収益事業の一環としてクラウドファンディングにふさわしくないのでは、という意見も寄せられました。

学習塾そのものは収益事業であって、社会課題に挑戦する公益性はあっても、あくまでも収益のためなのだから広報は自費で行うべきではないか、という考えです。その結論は、実際に書籍が発行されて、その内容を見てからの判断となるかと思いますが、発達障害児のための学習塾は公益か収益かの論議は、まだまだ続きます。
〔発達支援推進協議会 小林正人〕