発達障害の話をするときには、極端なこだわりを示す自閉症スペクトラム障害に限ったことではなくて、発達障害児は全般的にも特別なこだわりがあります。そのこだわりは、発達障害によって起こっているだけでなく、発達障害があることによって受けている社会的障壁によっても生じていることです。
発達障害児支援法には、発達障害者(18歳未満は発達障害児)は発達障害があり、それに社会的障壁が加わることによって社会生活に困難さを抱えている状態であると定義されています。
社会的障壁は、発達障害に対する理解不足、対応の低さによって生じていますが、その社会的障壁には、保護者の対応も含まれています。発達障害がある子どもを抱えていることによって受けている疎外感などを改善しようという意識が強いのは当たり前のことですが、被害者意識が強すぎることで、社会に対する抵抗感が高まり、これが特有のこだわりにもつながっていきます。
発達障害は遺伝も関係していると説明されることがあり、保護者のこわだりは発達障害によるものではないか、という見方をされることがあります。その傾向はあったとしても、全員が遺伝の影響を受けているわけではありません。
発達障害について当事者家族として経験をして、勉強もしてきたことで、それで克服できたということを強調する例もみられます。そのこだわりの対応は、その子ども、家族には功を奏したことであっても誰にも通用するわけではありません。それは勉強をしているときには発達障害は十人十色、百人百様、千差万別といっていたのに、“卒業”すると自分が体験してきたことが唯一の正解となり、それを正解として押し付けるようにすることもみられます。
このこだわりが、他の発達障害児、保護者への障壁になってしまうことも実際にあることです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕