腸内細菌の善玉菌を増やす条件は、いくつかありますが、その一つに腸内の温度があります。悪玉菌は腸内の温度が低くても高くても増える特徴があります。それに対して、善玉菌は腸内の温度が高めのときに増えやすくなっています。つまり、腸内の温度が低い状態では悪玉菌が増えて、腸内の温度が高い状態では善玉菌も悪玉菌も増えることになります。
腸内の温度を高めると腸内環境がよくなっても善玉菌だけが増えるというなら問題は内容に思われます。腸内の温度を高めることで悪玉菌も増えるのなら、あまり効果がないのでは、と考える人もいます。しかし、健康的な食生活をしているなら、腸内の温度を高めると腸内の環境が整って、着実に善玉菌が増えていくようになります。
日本人は、お腹が冷えやすいとよく言われます。それは腸の温度が低いからで、日本食の特徴である生の食材が原因とされることもありますが、実際には血液の温度が大きく関係しています。
日本人の腸内の温度は37.5℃ほどとなっています。血液の温度が37~38℃であるので、血液が多く送られている腸内は血液の温度に近くなっています。血流によって温まりやすいということは、その血流が低下すると急に温度が下がるということになります。
腸は身体の中にある内臓ではあっても、体の外側であるとも考えることができます。というのは、口から食道、胃、小腸、大腸、直腸、肛門までつながった1本の管のようなもので、口と肛門で外とつながっているからです。管の中は粘膜になっているのに対して、外側は皮膚で包まれています。皮膚の下には血管が通っていて、温かな血液が流れています。
温かな血液が次々と巡ってくれば皮膚の温度は下がらないわけですが、血の巡りがよくないと温度の補給が放熱に追いつかなくなり、冷えるようになります。腸の粘膜の下にも血管が通って、血液が巡っています。同じ温度の血液が流れているので、皮膚が温かい人は腸の中も温かいことになります。運動をすると血液の巡りがよくなって、身体の中の温度も皮膚の温度も高まっていきますが、それと同じで、運動をしたときには腸も温まっていくようになるのです。