発達障害児は記憶がよいというのか、それとも強い印象があったことは忘れないと表現するべきなのか、食べ物でショックなことがあったときには、いつまでも覚えているという特徴があります。普通なら軽く受け流すようなことであっても、心に傷として残って、同じようなことがないように避けようとします。
食べ物であった場合には、味の問題ではなく、記憶が邪魔をして食べられなくなるというのは、よくあることです。自分が食べて嫌な思いをしたものは食べられないものとして記憶されることがあります。また、友達が牛乳を飲んだのに吐き戻したことがあり、そのシーンが頭に残っていて、牛乳が飲めなくなったという例もあります。
食物アレルギーは幼いときにはあったとしても、成長につれてアレルギー反応が弱まり、まったく食べられないわけではなくて、アレルギー物質の害よりも栄養摂取のほうが重要で、結果として健康維持に役立つということもあります。
しかし、発達障害児では、アレルギーを起こした記憶が残って、食べられない状況が長く続くということも当然に起こることです。
定型発達であれば、食物アレルギーだけなら、研究が進んでいて、対応策も確立されています。味覚の問題などで食べられない場合には、形や味がわからないようにして混ぜるという方法がすすめられています。これも定型発達の場合であって、発達障害児は味覚に過敏であって、食物アレルギーの記憶が強く残っていると、食べられなくなります。
ただ食べられないだけでなく、精神的に抵抗感があることを、隠して実施した親のことを信じられなくなって、家庭では食べられないということも起こります。学校給食では食べることができるのに、家では食べないという保護者を困らせることが起こる要因の一つに、食物アレルギーに発した誤魔化し料理、それを安易にすすめる医療や栄養の専門家の対応があるのです。
〔発達栄養指南:小林正人〕