発達支援推進28 社会的障壁を車椅子から考える

「発達障害がある人を、発達障害者(18歳未満は発達障害児)にしているのは、社会的障壁があるからで、社会的障壁がなければ発達障害者にならない」というのは発達障害児支援法の定義を解説したもので、機会があるたびに説明してきています。

発達障害の社会的障壁は、理解の不足による差別や制度上の問題、日常的な生活における困難さ、学習や就職などでの困難さなどがありますが、なかなか理解してもらえないことから、あえて車椅子での生活を例にして説明をしています。

それは車椅子であっても、そうでなくても2階に行こうとしたときに行くことができないのが社会的障壁であって、エレベータがない、介助して2階に上げてくれる人がいない、上げてくれる人がいても今はいない、そもそも車椅子の人が2階に行くことを想定していないことが問題です。

これと同じことが発達障害でもあって、やりたいことができない、できないことがあって克服しようとしても適した手助けがない、わずかしか手助けがない、そもそも手助けが必要という発想がない、といったことがあります。

発達障害がある人と一緒にいる時間が長ければ、その困難さに苦しんでいることはわかっても、外見からは定型発達(発達障害でない)と見分けがつきにくく、発達障害であることがわかってもらえないところがあります。

発達障害のことを充分に理解してほしいとは言わないものの、この世の中に発達障害というものがあって、それに該当する子どもが10人に1人の割合でいて、その特性は生涯にわたって続くということくらいはわかってほしいのです。その理解がないことには、発達障害の特性を知って、何が社会的障壁なのかを知るところまでは進みません。それなくしては発達障害者の支援を期待することは難しいといえます。
〔発達支援推進協議会 小林正人〕