母子の栄養6 食生活指針「ビタミン・ミネラル」

「妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針」では、「不足しがちなビタミン・ミネラルを副菜でたっぷりと」と示されています。

妊娠中や授乳中の女性は、特に多くのビタミン・ミネラルについて、摂取量が充分ではないことが報告されています。

日本人の女性にとって摂取量が不足しがちなビタミン・ミネラルとしては、葉酸と鉄が一般にあげられます。葉酸は胎児の先天異常である神経管閉鎖障害の予防のため、妊娠前から充分に摂取していることが大切です。

神経管閉鎖障害とは、胎児の神経管ができる時(受胎後およそ28日)にうまくつながらない先天性異常で、無脳症・二分脊椎・髄膜瘤などがあります。多くの場合、妊娠を知るのは神経管ができる時期よりも遅いため、妊娠に気づく前の段階から葉酸を充分に摂取していることが大切です。

この時期に葉酸のサプリメントを摂取することにより、神経管閉鎖障害のリスクが低減することが数多くの研究で明らかになっています。神経管閉鎖障害を予防するためには、通常の食事に加えて、サプリメントや食品中に強化される葉酸として400μg/日摂取することが望まれると「日本人の食事摂取基準」で示されています。

また、鉄は酸素の運搬に必須のミネラルであり、妊娠期には成長や臍帯・胎盤中への鉄貯蔵、循環血液量の増加などに伴い、需要が増加するため、妊娠前より、さらに多くの鉄摂取が必要です。

野菜は、葉酸や鉄を含めたビタミン・ミネラルのよい供給源ですが、若年女性の野菜摂取量は「健康日本21〔第二次〕」の目標値である一日350gに達していません。また、妊娠前においても鉄の摂取量は推奨量に達していません。鉄や葉酸を多く含む食品を組み合わせて摂取に努める必要があります。

食生活は、すぐに変えられるものではないことから、妊娠前から野菜をたっぷり使った副菜でビタミン・ミネラルを摂る習慣を身につけることが大切です。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕