発達栄養89 心の免疫力が弱いと脳に影響

メンタルが弱いと病気になりやすいことは以前から指摘されてきました。メンタル(mental)は「精神的な〜」という意味ですが、日本では精神、精神力を指して使われることが増えてきました。メンタルの適切な表現を探す中で、「心の免疫力」という使われ方も登場してきました。

免疫力は人によって強さが異なり、少しくらいの外圧なら平気な人がいる一方で、わずかな変化でも極端な反応が起こる人もいます。免疫力が弱いという表現は過剰な反応をすることを指す例が多いのですが、気づかないところで徐々に影響を与えることが起こっています。それは脳への影響です。

脳は重要な器官であることから、必要なものは取り込み、不要なものは取り込まれないようにするか、わずかな量に抑える仕組みがあります。それは血液脳関門と呼ばれるもので、毛細血管の端に備わっています。脳に必要なものはブドウ糖、ケトン体、一部のアミノ酸、ビタミン、ミネラル、酸素、そして神経伝達物質のセロトニンです。セロトニンは脳神経細胞が次の脳神経細胞に情報を伝えていくために必要な物質です。

自然界においては必要のないものも血液脳関門のバリアを通過して、脳に影響を与えます。アルコール、カフェイン、ニコチン、医薬品のほかに、有害ミネラルの鉛、水銀、アルミニウムは吸収が抑制されるものの、通過します。

血液脳関門の機能は常に一定ではなくて、強いストレスが継続しているときには機能が低下してバリアの効果が低下します。この状態では脳への有害ミネラルの取り込みが増えて、農薬、添加物、薬剤、化学物質なども通過するようになります。脳に余計なものが入るとストレスが高まり、そのために血液脳関門の機能が低下するという悪循環にもなりかねません。

発達障害がある人はストレスが強くかかり、特に子どもの場合には強いストレスが続いている状態です。脳の機能が充分ではない子どもの場合には血液脳関門の機能が低いことから、食品に含まれる化学物質には特別な注意が必要になってくるのです。