母子の栄養7 食生活指針「たんぱく質」

「妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針」では、「主菜を組み合わせてたんぱく質を充分に」と示されています。

たんぱく質は、身体を構成するために必要不可欠な栄養素です。主菜は、魚や肉、卵、大豆製品などを使った食事の中心となるおかずの料理で、たんぱく質や脂質を多く含んでいます。

魚介類や肉類由来のたんぱく質摂取量は、全体のたんぱく質摂取量のうち、それぞれ2割程度にあたります。同様に、穀類由来のたんぱく質摂取量も全体の2割を占めるため、主菜だけでなく、穀類もしっかり摂る必要があります。

さらに、主菜は、その主材料の種類によって含まれる栄養素が異なります。例えば、魚の中でも、特に青魚にはDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)などの多価不飽和脂肪酸が豊富に含まれるほど、牛肉や豚肉などの畜肉には鉄が含まれています。また、大豆製品には、食物繊維も豊富に含まれています。

特定の食材に偏らず、多様な主菜を組み合わせて、たんぱく質を充分に摂取するように心がけます。

たんぱく質が豊富な食品の中には、注意が必要な食品もあります。レバーなどにはビタミンAが多く含まれていますが、ビタミンAは過剰摂取によって先天奇形が増加することが報告されているため、妊娠を計画する人や妊娠3か月以内の人は大量の摂取を避けなければなりません。

また、一部の大型の魚介類には水銀の量が比較的多いものも見受けられるため、おなかの赤ちゃんに影響を与える可能性が指摘されています。

肉・魚のパテ、生ハム、スモークサーモンやナチュラルチーズなど加熱していない食品(食前に加熱しない調理済み食品を含む)は、リステリア菌という食中毒菌が増殖している可能性があり、妊娠中は感染しやすく、赤ちゃんに影響が出ることがあります。普段から食品を充分に加熱する必要があります。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕