発達支援推進31 質問がないのはよいことなのか

“三度目の正直”という言葉があります。一度や二度では当てにならないけれど三度目は確実という意味ですが、2回アタックしても期待するような反応がないと、そこで諦めてしまって3回目のアタックをしないということになります。

発達障害の支援に限ったことではないのですが、子どもが頑張っても成果が出ない失敗体験をすると、それが2回重なっただけで、もう3回目を諦めてしまうことが多くなっています。頑張れば達成できるという保証もなく、以前と同じ方法でアタックしたのでは成果が出ないのは仕方がないことです。

これに対して、“二度あることは三度ある”という言葉もあって、同じことが二度続けてあったときには必ず繰り返されるという意味です。1回目か2回目のアタックで望みがかなえられたら、それが成功体験となって次も頑張ろうという気持ちにもなります。

どちらが良いのかといえば、後者のほうになるわけですが、発達支援に携わっていて、質問も相談もないのは、支援がうまくいっているからだと考える人が、支援する側の人に案外と多いことに気がつきました。

質問や相談をするほうは、それに返答をしてくれたとしても、思ったような、願ったような返答でなかったときには、残念な気持ちになります。それでも1回目は質問の仕方が悪かった、タイミングが悪かったと判断して、2回目のトライアルをします。

それで願いがかなったならばよかったのですが、2回目でも期待が裏切られると、もう質問をしなくなります。答えてもらう喜びや満足感よりも、充分に答えてもらえなかったガッカリ感のほうが遥かに強いと感じているからです。

講習をしたあとに質問がなかったことを、よく理解してくれた、満足したと思うのではなく、聞きたくても言い出せない気持ちがあることを考えて対応することが発達障害の支援者には求められることです。
〔発達支援推進協議会 小林正人〕