代謝と糖尿病15 糖尿病の合併症その2

糖尿病の三大合併症の一つの神経障害は知覚神経だけでなく、自律神経にも起こり、体温の調整の乱れやホルモン分泌に悪影響が出ることにもなります。三大合併症以外の多くの合併症の中で、特に注目されているのは動脈硬化と免疫低下です。

◎動脈硬化
高血糖状態が長く続くと、大きな血管が傷む動脈硬化へと進み、心臓疾患や脳血管疾患の障害の危険性も高まります。糖尿病患者は一般の人に比べて2倍以上も動脈硬化になりやすい傾向があります。
そのため、糖尿病では、血糖値を下げると同時に、抗酸化成分を摂ることも大切とされます。抗酸化成分には、ビタミン類、植物の色素のほか、サプリメント素材のアスタキサンチン、イチョウ葉エキス、ウコン、コエンザイムQ10などがあります。

◎免疫低下
高血糖状態では赤血球の色素であるヘモグロビンとブドウ糖が多く結びついていきますが、このときに活性酸素が多く発生することが確認されています。活性酸素は血管壁を傷つけるとともに、血液中のコレステロールを酸化させて動脈硬化を進めていく要因となります。

糖尿病になると血液中のブドウ糖濃度が高くなり、赤血球がブドウ糖によってベタついたり、赤血球同士がくっついた状態になって血流が悪くなります。そのために血液中の免疫細胞(白血球、リンパ球)の流れも悪くなり、免疫力が低下していくことになります。これも影響して糖尿病患者の10人に1人ほどが感染症で亡くなっています。

日本人の平均寿命は女性が約87歳、男性が約81歳となっていますが、糖尿病患者の平均寿命は男女ともに10~12歳も短くなっています。それだけ糖尿病は血管を傷つけ、全身に影響が出やすい病気だということがわかります。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕