健康・火の用心44 健康づくりでは避けたい「ぞっとしない話」

「ぞっとする」というと、恐ろしさで身の毛がよだつ、恐怖心から身体が震え上がる、寒さで身体が震え上がるという意味があります。「ぞっとする」の否定形は「ぞっとしない」ということになるので、「恐ろしくない」という意味で使われることがあります。

“使われることがある”という表現をしたのは、間違いであるということを暗に示しているのですが、「ぞっとしない話」というのは、怪談話をされても怖くないということではなくて、「面白くない」というのが正しい意味です。

辞書を紐解くと、「ぞっとする」の意味として、もう一つ「美しいものに出会うなどして、強い感動が身内を走り抜けるさま」ということがあげられています。面白いものに出会ったときには、身が震え上がるような感動が起こることがあり、この“震え上がる”という感覚が「ぞっとする」ということになります。

この意味での否定形は、感動しないということになり、それを考えると「面白くない」というのは納得できる感覚ともいえます。健康づくりの活動においては、「ぞっとしない話」は避けたいところで、感動を与えて、またやりたい、何度でもやりたい、習うだけではなくて自分が教える側になりたいという気持ちを起こさせる「ぞっとする話」であってほしいものです。

文化庁の「国語に関する世論調査」の結果をみると、正しい意味で使っているのは23%ほどで、誤用しているほうが56%ほどと多くなっています。だから、「ぞっとしない」という言葉が使われたときには、どちらの意味で使っているのか、しっかりと確認をしておかないと、とんだ間違いを起こすことにもなりかねないということです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕