食事は栄養バランスが摂れていれば、それでよいというわけではありません。メディカルダイエットのエネルギー代謝でいえば、エネルギー源(糖質、脂質、たんぱく質)があり、それをエネルギー化するためのビタミンとミネラルがあれば、細胞のミトコンドリアの中で作り出されるエネルギーの量が増えていきます。
細胞の中で作り出されたエネルギーは、その細胞の中でしか使われないのですが、細胞の中で行われる生化学反応は、このエネルギーを使って行われています。その意味では、食べるものの中身が重要であって、食べる順番は関係がないことになります。しかし、身体は、そんな単純にはできていません。
食事は食卓に乗せられたものを、ただ食べればよいというわけではなくて、食べる順番があります。日本人の伝統的(歴史的)な食べ方は、主食(ごはん)を口に入れ、ごはんが口の中に残っているうちに、おかずを口に入れて咀嚼します。そのときの味わいは、口に入れた量によって変わってきます。
味が薄いと感じたときには汁物(味噌汁)を口に入れ、濃くなったときには、ごはんを追加します。そのように食べている人によって、それぞれ異なる味わいで食べていることは“口中調味”と呼ばれています。
食べる順番ダイエットでは、初めに野菜を全部食べて、食物繊維を摂ったあとに血糖値を上昇させる主食(糖質)、おかずである主菜(脂質、たんぱく質)を摂ることがすすめられています。
ダイエットにはよいことではあっても、口中調味だけでなく、彩りや味わいの変化を楽しみながら食べるという文化性は否定されたようなものです。食べる順番ダイエットは簡単な方法だといっても、文化性のない食事になるようなことだけは避けるべきです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)