DNA Answer28 エネルギー代謝としての発達栄養

発達障害の支援は、さまざまな方法があり、それぞれ苦労をしているのに、栄養面だけで改善できるのか、と言われることがあります。栄養摂取といっても毎日食べていることではあり、特別な食品を食べるようにさせるわけでもないのに、本当に効果があると思っているのか、とまで言われることがあります。

その答えは「あります」です。

ビタミンやミネラルを摂っても、体調が整えられるだけで、大きな影響はないとの考えが広まっているのは、ビタミンやミネラルの本当の役割が理解できていないからです。身心を正常に働かせるためには、全身の細胞で作り出されるエネルギーが必要です。

エネルギーはエネルギー源(糖質、脂質、たんぱく質)を摂取して、細胞の中のミトコンドリアで代謝が起こることで自動的に発生するものではありません。エネルギー源がミトコンドリアの中で生化学反応を起こす高エネルギー物質のアセチルCoAに変化するためには、ビタミンC以外の水溶性ビタミン(8種類)が必要です。

また、ミトコンドリアの中のTCA回路で、アセチルCoAから9段階の変化をしてエネルギー物質のATPが作り出されるためには4種類のビタミンB群(ビタミンB₁、ビタミンB₂、ビタミンB₆、ビタミンB₁₂)が必要です。

このうちの一つが欠けただけでもエネルギー代謝が低下します。

代謝が低下するというと、エネルギーの発生量が減ることだけを考えがちですが、代謝は2つに分けられます。1つはエネルギーを作り出す異化で、もう1つはエネルギーを使って細胞に必要なものを作り出す同化です。細胞は、その中で機能が完結しています。細胞の中で作られたエネルギーは、そのエネルギーの中でしか使われないのです。

だから、細胞レベルから元気になろうと考えるなら、必要な栄養素を摂る必要があり、発達障害児の特性、それぞれの子どもと家族の特性を知って支援をするための基本中の基本を伝えるのがDNA資格認定者の役割なのです。
〔発達栄養指南:小林正人〕