「情けは人のためならず」は、「人に情けをかけておくと、巡り巡って結局は自分のためになる」というのが正しい意味なのですが、間違った意味で捉えている人も少なくありません。少なくないというよりも、「人に情けをかけて助けてやることは、結局はその人のためにならない」という意味だと思っている人が多くなってきています。
文化庁の「国語に関する世論調査」では、正しい使い方と誤った使い方がほぼ同数という結果になっています。それだけに、話をしている人が、どういった意味で使っているのかがわからないと、とんでもない誤りをすることにもなりかねません。
講演などでは、こんな間違った意味で捉えられるかもしれない言葉は使わないようにしているのですが、私以外の講演者が使うこともあり、聞いている人が間違って捉えていないかと気になってしまうこともあります。
講演を受講していると、ついつい余計なことを考えてしまうところがあり、講演者には申し訳ないのですが、聞いているようで半分は聞いていないこともあります。
たまたま「情けは人のためならず」と講演者が言ったときに、頭に浮かんできたのは「人」ではなくて「他人」ではないかと考えてしまいました。「人」のままだと犬や猿、雉という桃太郎のお付きを思い浮かべて、「人のためでないなら犬のためか」と余計なことを考えてしまいました。
「ため」という言葉も気になっていて、漢字で書くと「為」で、これに人を表す「亻」(人偏:にんべん)を合体させると「偽」という漢字になります。
「人の為」というのは「偽り」にもなりかねないということで、できるだけ人の為とは言わないようにしています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕