タイトルの「すべて仮説の世界」というのはVR(Virtual Reality)でもAR(Augmented Reality)でもなくて、医学のことを言っています。医学というと、治療の分野では診察・診断して、その結果に合わせて治療を断定的に行うので、「確定の世界」と思われるところがあります。それは本当なのか、という本題の前に、医師が言うことは本当なのかという疑問から書いていくことにします。
生活習慣病は食事内容が大きく関わることから、生活習慣病の予防や改善のための食事について医師から指示されることがあります。その指示されていることが正しいと思い、医療機関によっては医師の指示のもとに栄養士が具体的な食事指導を行っています。
栄養は病気に深く関係することから、医師教育でも充分に学んでいると思われがちではあるものの、医学部がある82大学のうち栄養学講座があるのは25大学だけです。それも栄養学を基本から学べるわけではなくて、栄養不足による疾病の発症について学ぶだけというところが大半です。しかも栄養学講座は必修ではなく、選択項目となっています。
医師教育の中で充分に学ぶことができない状態では、医師の栄養指導を信じてよいものか疑問が湧いてくるのも当然のことです。
医学の世界は日進月歩で、最新情報を得て、対応するためには専門の医学会に所属して、研修会などで学び、学会誌を通じて最新情報を得る努力が必要です。そのようなことをしていなくても医師を続けることができます。というのは、医師免許には更新制度がなくて、医師国家試験に合格したときから情報更新をしていなくても、診察・治療ができるのが日本の医療制度だからです。
そもそも日進月歩の医学の世界は、少し前に最新情報として発信したことと違った内容が発表されることも少なくありません。医療の常識とされていることも、常に仮説であって、多くの症例を得て、確定に近づけられているだけです。
そのサポートの一端を担えればという思いで、医師や研究者、団体役員などに向けて最新情報を毎週1回発信する「健康情報メール」は2010年4月から初めて13年になりました。ここまで続けてきたから、最新情報の“寿命”が思った以上に短くて、常に更新していきないと間違いを犯すということを実感しています。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)