健康食品 敵か味方か12 「確認されている」と「報告されている」の違い

機能性表示食品は、研究論文によって機能性が確認されている場合には、それを有効性と安全性として消費者庁に届け出することによって、機能性を表示して販売することができる制度となっています。

特定保健用食品(トクホ)の場合は、実際に販売する商品と同じ内容のもので人間を対象にして試験をする必要がありました。機能性表示食品の場合も、商品を使っての試験をした結果を裏付けとして提出してもよいのですが、論文だけなのか、それとも商品を使っての結果なのかということは広告やコマーシャルを見ればわかります。

機能性表示食品のテレビやネットのコマーシャルを見ると、機能性について述べたあとに「〜と報告されています」という一文が流されるのを見聞きしたことがあるかと思います。この「〜と報告されています」は研究論文を裏付けとして届け出がされたものです。

同じ成分が同じだけ使われていれば、同じ効果があるという前提に立ってのことです。
これに対して、販売する商品で機能性を確認したものは「〜が確認されています」という表現がされています。この場合には、実際に使う商品と同じものを使って、機能性が確かめられているので、結果が異なることはないわけです。

では、研究論文を根拠として示したものは、どうなのかというと、素材が一緒であっても、天然物の場合には素材の種類が微妙に違うことがあり、栽培地域、栽培環境、収穫時期、収穫部位、加工法、保存法などによっても有効成分の質や量は変わってきます。

抽出・凝縮した成分が同じであっても、製造会社によって質が変わり、有効性も変わることは当たり前のようにあることです。研究論文と素材や成分の名前が一緒であっても中身が違っているという事情があるにも関わらず、研究論文の結果と同じであれば同じ結果という評価をされているのが「〜と報告されています」と表現されている機能性表示食品なのです。
〔健康情報流通コンサルタント 小林正人〕