「歩きましょう」と言われて、いきなり速歩で歩き出す人は少ないと思います。普通歩行と言われるウォーキングの速度は時速5kmほどで、これよりもゆっくりと歩く人はいても、逆に速く歩く人を見かけることはありません。
長く歩くほど、つまり長い距離を歩く、長い時間をかけて歩くということでは、頑張りすぎると長続きしないので、普通歩行の速度になるのが普通のことです。
歩くことによる健康効果というと心肺機能の向上、身体機能の向上、筋肉の増強、ダイエットといったことがあげられます。ダイエットといってもスリムになる痩身ではなくて、私たちは健康づくりを目的としたメディカルダイエットを実施しているので、あくまで生活習慣病対策のためのダイエットです。
そのためには普通歩行だけでは成果を得にくいので、途中で速歩を入れるようにしています。速歩は健康効果が高いといっても時速が7kmを超えるような速度では長くは続けられません。ウォーキングは有酸素運動ですが、必死になって歩くと無酸素領域に近づいていきます。有酸素運動であるのに、身体的な負荷が高まって無酸素運動と同じようになっていくのが無酸素領域で、この状態になると脂肪の代謝が低下して、エネルギー源として主に使われるのは早くエネルギー化されるブドウ糖に変わります。
血糖値を下げようとする場合は、無酸素領域の苦しさを感じる速度でのウォーキングでもよいのですが、体脂肪(中性脂肪)を減らすことを考えたら、有酸素運動の領域でのウォーキングにしておいたほうがよいということです。
有酸素運動で身体的な負荷に物足りなさを感じたときには、普通歩行から1〜2分だけ速歩を実施します。この時間は少し息苦しさを感じるまでの時間ということで、2分を超えても大丈夫というときには、もう少し長めに速歩を続けます。そして、速歩で苦しさを感じるようになったら普通歩行にして、これを5分ほど続けたら、再び速歩に切り替えます。
このようにすると速歩のときに筋肉に多くの酸素が取り込まれるようになり、普通歩行では酸素を使って脂肪代謝を進めることができるようになります。余計な体脂肪をエネルギー消費して、生活習慣病の予防に役立てるのが速度の異なる2つの歩き方を組み合わせることの優れたところです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕