赤ちゃんのための粉ミルク(調整粉乳)は、初めて登場したときには母乳の代わり、母乳の出が少ない母親が母乳の代わりに使うものという印象がありましたが、今では赤ちゃんの栄養バランスを整えるために母乳とともに使うものという印象が強まっています。
母乳の代わりに赤ちゃんに与えるものだけでなく、母乳を与える母親が自分自身の栄養バランスを整えるために使うことが増えています。
粉ミルクは新生児から1歳ころまでに使うもの(森永乳業なら「はぐくみ」、明治なら「ほほえみ」)、12か月ころから使うもの(森永乳業「チルミル」、明治「ステップ」)に分かれますが、母親の栄養不足に使われるのは1歳ころまでの粉ミルクが一般的です。
この時期の粉ミルクは、母乳に近いたんぱく質が含まれ、初乳に多いラクトフェリン、オリゴ糖などが配合されていて、栄養成分の量とバランスが母乳に近づけられています。粉ミルクには、母乳に少ないビタミンK、ビタミンDが添加されているものが多くなっています。
母親が母乳の栄養バランスをよくするために飲んだり、離乳後の子どもに栄養摂取のために使う場合には、他の栄養バランス食品とは異なる注意が必要になります。それは脂肪分が多いことです。その脂肪は中性脂肪で、重要なエネルギー源であるだけでなく、細胞膜の構成成分、ホルモンや胆汁酸の原料、脳や神経系の発達のための成分となっています。
母親が母乳の内容をよくするため、自分自身の健康のための栄養摂取に粉ミルクを活用する場合には、脂肪が多いことを意識して、他の食事では脂肪を控えることを考える必要があります。授乳中には、体内の脂肪は母乳の成分となるので、それほど体脂肪が増えていることを気にする必要はありません。体内の脂肪酸は重要なエネルギー源となって子どもに移されていきます。
粉ミルクに含まれる脂肪酸の割合は、30%ほどを占めています。この量は成人の食品の摂取でいうと上限値に当たる割合で、粉ミルクに依存すると確かに摂りすぎの量となります。こういったことを知って、脂肪摂取の全体量を考えるようにします。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕