健康食品 敵か味方か15 健康食品の形状の変化

健康食品の形状は、今でこそ医薬品の錠剤と同じ形をしたものが販売されていますが、以前は医薬品と間違われる可能性がある形状は許可されていませんでした。これは健康食品を規制する「無承認無許可医薬品監視指導マニュアル」の中で、医薬品とみなされるものとして医薬品と同じ形状のものが示されているからです。

1991年に特定保健用食品(トクホ)の制度が設けられたときにも、当初は医薬品との区別を明らかにするために、「明らかな食品形態のもの」に限られていました。それが2001年の保健機能食品制度によって、錠剤やカプセルなどの形状も許されました。

「無承認無許可医薬品監視指導マニュアル」の医薬品と同じ形状の記載はそのままでしたが、規制緩和によって、錠剤やカプセルであっても、そこまでうるさく規制されることはなくなりました。現状で医薬品と同じ形状と判断されるのは、アンプルや噴霧によるものと変化しています。

また、摂取法が飲むことではなくて舌で溶かして成分を取り込む舌下錠も医薬品の形状の一つとされています。健康食品の成分や胃と小腸を通過することで吸収率が低下することから、血管に直接送り込む舌下錠と同じ使い方のほうが効果は高まるものの、これは健康食品の使用法として表示することはできません。

錠剤とカプセルの形状が許可される前は、丸い形状が使えないことから、六角形、八角系、片方が膨らんだ涙型(液滴型)といった変わった形のものだったので、間違いにくいということがありました。

ところが、形状が医薬品と同じようになってから、間違いを防ぐために広告やパッケージなどの表示が厳しく取り締まりされるようになりました。規制が緩くなる一方で厳しく対処されるというのは、これまでにも健康食品の規制として繰り返し行われてきたことです。
〔健康情報流通コンサルタント 小林正人〕