ツイン・ウォーク43 普通歩行と速歩の切り替えで筋肉増強

歩くだけでは筋肉は強化されたとしても増えることはない、ということは運動科学の世界では、よく言われることです。筋力は筋収縮力、筋持久力、筋代謝力に大きく分けられます。強い力を発揮するのが筋収縮力で、その筋収縮力を長く続けられるのが筋持久力、筋肉を動かすためのエネルギーを効果的に作り出すのが筋代謝力です。

歩くことによって筋肉を刺激することで筋肉の能力を高めることはできても、筋肉を増やすためには、筋収縮力、筋持久力、筋代謝力を高める筋肉運動が必要とされます。これは事実であっても、高齢者の場合には歩くことによって筋肉を増やすことができます。そのためには特別な歩き方が必要で、それは有酸素運動としての普通歩行だけでなく、途中で無酸素領域の運動となる速歩(早歩き)を入れて、歩行速度を変えながら歩くことが必要です。

なぜ高齢者だけに効果があるのかというと、運動によるエネルギー代謝量が低下していて、若いときなら平気であった速歩が、大きな負担になるからです。筋肉の負担が大きくなると、筋肉を増やすために筋肉細胞の周りにサテライト細胞が作られます。

これは衛星細胞とも呼ばれていて、筋肉に負荷がかかって筋肉細胞が傷つけられると、これを修復するためにサテライト細胞にタンパク質が集まってきます。このタンパク質を筋肉細胞が取り込むことによって筋肉が増え、強くなっていくのです。

サテライト細胞が作られるときにはAMPキナーゼという酵素が必要で、この酵素は有酸素運動によってエネルギー産生が盛んになったときに作られます。それもきついと感じるくらいの運動をしたあとにAMPキナーゼが作られます。だから、ただ歩けばよい、長く歩けばよいということではなくて、少し息苦しさを感じるくらいの速度で歩くことが必要です。

ずっと速歩を続けることは大変なので、普通歩行と速歩を繰り返すインターバルウォーキングによって、速歩の時間を伸ばすことをすすめています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕