健康食品 敵か味方か16 購入者に使い方を教えるのは親切なのか

健康食品の効能効果は、商品を販売するときに広告などで表示・表現してはいけないことです。それは理解しているのに、すでに購入している人に対しては該当しない、と考えている販売事業者も少なくありません。そのようなことはないのですが、購入者に対して送られてくる通信や会員紙では、効能効果を平気で書いているということもあります。

医薬品医療機器法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)は、以前は薬事法といいました。その薬事法に基づく健康食品の取り締まりをするための「無承認無許可医薬品監視指導マニュアル」は昭和62年に初めて通知が行われたのですが、その当時は広告規制でした。

その後、8回にわたって改正されるたびに広告だけでなく、会員紙や小冊子、書籍などの形で効能効果を述べることも、口コミ式に伝えることも違反行為として加えられていきました。これでは何も言えない、と販売事業者に言わせるくらい、効能効果を伝えることができなくなっています。

会員紙に書いた効能効果が違反として取り締まられた販売事業者が、規制する行政機関に対して、「購入者に送っている会員紙は、すでに購入している人のためのものだから販売目的ではない」と抵抗を示したことがありました。

しかし、会員紙は、購入者以外にも見せて購入のきっかけにされることもあります。事実、購入者の近所の人から注文が入る例があり、それは会員紙に書かれた効能効果がきっかけになっているということもあります。

行政機関の見解は、初めて購入した人に送られる会員紙は、2回目の購入を呼びかける意図があるということで、これも広告宣伝とみなされました。広告は不特定多数に呼びかけるもの、会員紙は特定少数に送るものという言い訳は、もう通用しなくなっているのです。
〔健康情報流通コンサルタント 小林正人〕