健康食品の法規制17 これさえ守れば大丈夫と言えない理由

健康食品の広告表示のコンサルタントの中には、法律論で間違いないからと、広告内容にOKを出すところがありますが、それで実際には取り締まり側からOKとはならなかったという事例があります。それはコンサルタントが規制について勘違いしていたということだけではなくて、販売事業者が過去にやったことが問題となって、より厳しく取り締まられることがあります。

そこをチェックすることができないと、取り締まり側から「あなたの会社の場合にはグレーは黒」と思いもしなかったようなことを言われることにもなります。これは実際に相談を受けて対応に動いた例ですが、ここでは社名も商品名も明らかにしないで話を進めることにします。

その会社の商品は腸内環境に影響するもので、効能効果にあたる作用機序が確認されなかったということから販売できなくなりました。このことは地域は限られるものの、新聞記事にもなりました。

その会社は営業を辞めて、社名はそのままで買い取られました。経営者が変わり、有名であった商品名は同じにして、中身はまったく変わったものとなりました。取り締まりで黒(アウト)とされた商品であったことから、広告表現は黒と白(完全なセーフ)の間のグレーの範囲の中でも、極めて白に近いグレーの表現をしたにも関わらず指導を受け、そのときに言われたのが「グレーは黒」でした。

経営者が変わり、商品の内容が変わり、広告表現も緩やかにしたのに、厳しく監視されました。この会社からも相談を受けて、会社名も商品名も変えないと厳しい監視は続くと伝えたのですが、変わることなく、結局は商品だけでなく会社も続けられなくなりました。

このように法律論だけでは対処できないことがあり、過去にあったことを聞き出さないと実際の指導ができないという一つの事例です。
〔健康情報流通コンサルタント 小林正人〕