発達栄養は、食事をしてから体内で起こる一連のことを理解して、食べることの重要性と栄養摂取による発達障害の改善にアプローチしていくことを目指しています。食べ物を口の中に入れること、噛むこと、咀嚼して飲み込むことから始まるのですが、一連の流れを自律神経の調整としてアプローチしていることもあって、噛むことについては特別に講習の中には入れてきませんでした。
歯の状態が同じものとして、咀嚼も同じようにできることを前提として、その先の食道を通過してから先のことを中心としてきました。しかし、実際には歯並びの状態、噛む能力の違い、虫歯などの歯の状態は消化、吸収には大きな影響を与えています。
噛むことと咀嚼についての専門家が、これまで私たちの仲間にいなかったことで、一般論としての歯の状態について説明してきただけでした。食べることを健康づくりの基本として考えるには、噛むことから始まる健康については避けて通ることはできません。
岡山から発達栄養講習を始めるにあたって、歯科治療と口腔ケアの専門家を迎えて、DNA資格認定講習を進めていくことにしました。岡山県内での歯科治療の専門家であると同時に、子どものための専門の歯科医院も運営しており、障害がある子どもの歯科治療と食による健康づくりにも造詣が深い方です。
私たちは噛むこと、咀嚼すること、そして飲み込むところまでの歯科医師の専門分野から学び、私たちが研究してきた消化、吸収、蠕動運動、排泄といった従来の発達栄養の範疇とを組み合わせることによって、より身近な発達栄養講習が進められる環境が整ったと感じています。
発達障害児の感覚過敏は、歯科治療は“拷問”に匹敵することにもなりかねないだけに、発達障害の特性を知って、専門分野の仕事に取り組む方を増やしていきたいという思いもあります。
〔発達栄養指南:小林正人〕