健康食品は複数の素材を組み合わせて作られるのが普通です。医薬品の場合には1種類の素材しか使われていなくて、複数の効果がほしいときには複数の医薬品が使われます。健康食品の場合には、目的によって素材を組み合わせているわけですが、組み合わせによってプラスの効果が得られる場合もあれば、逆にマイナスになってしまうこともあります。
その例として、よくあげられるのは機能性表示食品に使われる難消化性デキストリンです。これはトウモロコシを材料にした水溶性の食物繊維で、消化も吸収もされずに、胃から腸へとゆっくりと運ばれていくことと、吸着して吸収を阻害する作用があることから血糖値の上昇抑制、中性脂肪値の上昇抑制、血圧の上昇抑制の働きがあります。
どれも生活習慣病が気になる人にとっては嬉しい効果で、それが一つの素材で得ることができます。しかも、すでに機能性表示食品の素材として消費者庁に届け出されていることから、難消化性デキストリンを使用すれば機能性表示食品として販売することも簡単にできるというメリットもあります。
これはよいことではあるものの、難消化性デキストリンは、どこの会社のものでも同じ中身となることから、差別化のために他の素材をプラスしている商品もあります。その素材が、さらにプラスの効果をもたらしてくれればよいのですが、そうはいかないのが難消化性デキストリンの困ったところではあります。
せっかく加えた素材も、難消化性デキストリンの水溶性食物繊維の中に取り込まれて、全部は吸収されなくなります。吸収されるものはあっても、吸収される量が減ってしまうので、期待とは異なる結果となってしまいます。
他のものを吸着して吸収を阻害するのは医薬品も同じで、胃の中に難消化性デキストリンが残っているときに医薬品を飲むと、吸収される量が減って、効き目も弱くなってしまいます。そんなことがあるので、健康食品を摂らないように指導する医師もいるのです。
2時間ほどもあれば難消化性デキストリンは通過するので、医薬品の摂取と時間を離せばよいとされています。しかし、難消化性デキストリンは食事の後に摂取することで効果があり、医薬品は食後に飲むことが多いので、摂取タイミングは難しいところがあります。
〔健康情報流通コンサルタント 小林正人〕