エネルギー代謝というと、摂取エネルギー量のプラスと消費エネルギー量のマイナスのバランスのことだと考えられがちです。これはメディカルダイエットの講習と情報発信を行っているNPO法人(特定非営利活動法人)だからというよりも、一般に広く認識されていることです。
バランスというのは、摂取エネルギー量が多くて消費エネルギー量が少なければ太るようになり、摂取エネルギー量が少なくて消費エネルギー量のほうが多ければやせるようになるということで、この発想から受け出せないからです。
これはダイエットについて考えるときの基本となっていることでもあるのですが、摂取エネルギー量を減らして、消費エネルギー量を増やして“やせる”ということでは、テーマに掲げた「理想実現のため」に当てはまるのは“太っている”人だけになってしまいます。
太っている人が、健康のためにやせるのはよいことではあっても、ただ飲食の量を減らして体脂肪が減ったということでは、次に続く「代謝促進」にはつながりません。食事で摂取するエネルギー量を減らす、それによって脂肪細胞の中に蓄積されている体脂肪(中性脂肪)を減らすというだけでは、活動のためにエネルギーを積極的に活かすわけにはいかなくなります。
大切なのは摂取したエネルギー源(糖質、脂質、たんぱく質)を効率よく使って、多くのエネルギーを作り出して、そのエネルギーによって身体に必要なものを作り出していくことです。そのために摂取エネルギー量を増やして、エネルギー産生を高めることが重要で、それは私たちが実施する「エネルギー代謝コントロール」とつながっています。
細胞の中にあるミトコンドリアでは、エネルギー源を取り入れて、TCA回路の中でエネルギー源から変化した高エネルギー化合物(アセチルCoA)からエネルギー物質(ATP)が作られています。そのあと、エネルギー物質からエネルギーが作り出されているわけですが、そのエネルギーは細胞の中だけで使われています。
電気のように他のところに流れていくことはありません。細胞の中で発生して、細胞の中だけで使われて、細胞の生化学反応を起こしています。
細胞の中の生化学反応は、細胞に必要な成分を作るほか、生化学反応のための酵素、ホルモン、神経伝達物質、代謝促進物質などを作り出すことを指しています。細胞の中で発生したエネルギーによって、細胞を維持して、これが全身の働きに影響を与えていくことになるので、エネルギーを多く作り出すことが重要になります。
そのために必要なものとして、酸素、ビタミン、ミネラルがあげられます。健康の維持・増進のためのエネルギー代謝には、運動などによって酸素を多く取り込むことと同時に、栄養摂取が必要になるということを、まずは理解してほしいのです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕