発達支援推進44 歯磨きさえ苦しく感じる発達障害児

歯磨きは食事をしたあとに習慣的に行い、歯の健康、口腔内の健康を保つためには必ず実施しておきたいことです。そんな当たり前のことを今さら言うのかと思われることもあるのですが、発達障害がある人には、歯磨きさえも苦しくて、できることなら歯磨きなどしたくないという人もいます。

特に自閉症スペクトラム障害に多くみられる感覚過敏がある子どもに多く、歯ブラシの刺激が痛い、歯磨きするときの音が苦手、歯磨き剤の味や臭いが嫌だという例も少なくありません。

歯磨き剤が歯磨きを避ける理由になっているときには、ブラッシングだけでも行うことが指導されることがあります。歯ブラシの刺激や音が避ける理由になっているときにはマウスウォッシュが進められることがあります。

本来なら歯磨き剤を使った歯磨きをして、そのあとにマウスウォッシュを使うことがすすめられます。歯磨きをしないでマウスウォッシュを使うことは想定されていないので、マウスウォッシュだけでは歯の健康を保つことは難しいと考えられています。

マウスウォッシュには特有の味や臭いがあって、これがダメだという場合には、どうすればよいかということですが、最近では刺激が弱いマウスウォッシュも登場しています。

ブラッシングだけで歯磨きを済ませられればよいのですが、子どもがブラッシングだけで歯と口腔の衛生状態を保つことは難しくなっています、苦手なことは早く済ませようとするところがあって、短時間のブラッシングだけで健康状態を保つのは難しいことです。

乳幼児のときには、歯磨きができないとき、歯磨きが充分に行えないときに、保護者が磨いてあげるということをしますが、それと同じようにするか、少なくとも歯磨きの状態を確認して、指摘して自分で磨かせるか、手伝ってあげることも必要になってきます。

いくら歯磨きが苦手だからといって、何もしないでよいというわけにはいかないのです。
〔発達支援推進協議会 小林正人〕