発達支援推進45 運動が苦手な子どもの判断

発達障害ではないのに、発達障害に勘違いされることがあります。その一つに発達性協調運動障害があげられます。発達性協調運動障害は「脳性まひや神経や筋肉の病気など、何らかの診断名がついていないにも関わらず、日常生活に支障が出るほどの不器用さがある状態」を指しています。極端な不器用状態で、靴の紐が結べない、平らなところでも転ぶ、階段が上り下りできない、ということが起こります。

発達性協調運動障害がある子ども(5〜11歳)の割合は、6〜10%ほどとされています。自閉症スペクトラム障害と似たところがありますが、発達障害(自閉症スペクトラム障害、注意欠陥・多動性障害、学習障害)は約10%とされています。発達性協調運動障害も発達障害も10%ほどだとすると、両方を抱えている子どもも多いことになり、発達障害児支援では発達性協調運動障害について知っておくことが重要となります。

発達性協調運動障害の子どもは、体の各部分や筋肉を協調して働かせる活動(協調活動)が苦手であるという特徴があります。転びやすいうえに、転んだときに腕や頭などを上手に動かして危険がないようにするべきですが、どのように身体を動かしてよいのかがわからず、受け身が取れずに顔から床に突っ込むことも起こります。

発達性協調運動障害は、粗大運動の不器用さと手先の不器用さに大きく分けられます。粗大運動の不器用さは、大きな動き、ダイナミックな動きがスムーズに行えないもので、ジャンプができない、スキップができない、縄跳びが跳べないといったことから、うまく走れないという子どどもいます。物を落とす、物にぶつかる、ラジオ体操の動きがぎごちないことから気づくこともあります。

手先の不器用さは一般にみられることで、靴の紐が結べないことのほかに、ハサミや定規などの道具が上手に使えない、字が上手に書けない、折り紙が折れないということもみられます。この苦手さのために、日常生活活動、学業や就労活動、余暇・遊びなどが妨げられます。やる気の問題、練習不足などと誤解されることもあります。

発達性協調運動障害の子どもは、乳児期に寝返りやハイハイ、お座りが遅いことから気にかけられることがあり、少し成長してからは階段を上る、三輪車に乗る、シャツのボタンをかけることなどがうまくできないことが現れます。

できた場合であっても、同年代と比べて動きがぎごちなく、時間がかかることがあります。さらに成長してからは絵を描く、パズルの組み立て、チームでの球技などがスムーズにできず、不正確になることもみられます。その原因として過保護な育児や運動不足があげられることがあるものの、これは親のせいではなく、発達性協調運動障害である場合が多くなっています。
〔発達支援推進協議会 小林正人〕