「ぎごちない」と「ぎこちない」は、どちらが正しいのかということを、「NHK用字用語辞典」と「NHKことばのハンドブック」を引き合いに出して、前回は比べてみましたが、それに続いて提示するのは「こんがらかる」と「こんがらがる」の使い分けです。
古い世代(昭和30年生まれ)の私としては、「こんがらかる」が正しい使い方という認識ですが、若い世代となると「こんがらがる」が正しくて、私などは古くて、間違った言葉づかいをする人種とされてしまいます。
辞書的には「こんがらかる」が昔から使われてきた言葉で、これが正しい用語となるのですが、言葉というのは使っているうちに変化をしてきて、いつの間にか多くの人が使っているほうが正しいとされることがあります。「こんがらかる」と「こんがらがる」についても同じことで、今では「こんがらがる」のほうが正しいと認識する人が圧倒的に多くなっています。
中には「こんぐらかる」という言葉を使っている人もいて、どれが正しいのか、まさに「頭がこん○○かる」ような感じになってしまいます。辞書的に正しいのは「こんがらかる」であって、物事が入り乱れて、ややこしくなることを意味しています。
言葉は多くの人に使われているうちに、どちらが正しいのかわからなくなるというのが、よくある話ですが、今回のテーマだけは「こんがらかる」が正しい使い方です。とはいっても、使っている人は、圧倒的に「こんがらがる」のほうが多くなっています。
正しい言葉づかいは知っていても、テレビであれば視聴者、ラジオであれば視聴者、書籍などの文章であれば読者が、どちらのほうが違和感がないかで選ばれるのは仕方がないことです。特に、言葉や文字の修正をする編成者や編集者が若い世代であると、視聴者で読者などの理解とは関係なしに、チェックをする人の感覚で決められてしまうことがあります。
そんなときこそ辞書の出番となるのですが、今どきは辞書機能があるネット検索が使われ、それはネットを多く使っている若者の感覚に合わせているところがあるので、本来の使い方とは違ったことが、罷り(まかり)通ってしまうことがあるのです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕